UIデザイナーに必要なのは、決定力のあるデザインを作る能力
※過去ブログからの移転
最近、デザイナーに求められるスキルが多くて何を学べば良いかわからなくなってきた。と言う声を聞くようになってきた。
流行りの記事のいくつかに目を通すと、デザイナーは「経営者と対等に話せるコミュニケーション能力、ビジネスセンスを保有していて、イケてるグラフィックを作り、コードまでかけないといけない」らしい。
スキルを多く保有している方が望ましいのは間違いない。
ただ、現場デザイナーに最も大事なのは実装面での考慮事項が網羅されて考え込まれた「決定力のあるデザイン」を作る力だと思う。
サッカーで言うと、決定力は「得点を決める能力」として使われているけど、UIデザインにおいては「実装面まで考慮された実装可能なデザインであるか」という言葉として使っている。
魅せるデザインとフィージビリティが考慮されているデザインでは、内容がかなり異なってくるので、現場デザイナーとしては特にこのあたりを意識しておきたいところ。
Dribbbleに掲載されているデザインは確かにかっこいい。僕も好きでよく見ている。参考にしているデザイナーも多いと思うけど、あれはあくまでコンセプトなので、孵化させるためにはフィージビリティを深く考えてデザインする必要がある。
具体的には、仕様が精査されている事に尽きるのだけど、決定力のあるデザインの一例をあげてみる。
デザイン上のテキストや画像が適当では無く、実サービスで使われる相当の内容で考えられている
動的コンテンツの制御が考えられている
バリデーションのフィードバックも考えられている
画面外のIN / OUTの導線を考慮した動きまで考えられている
タップ(クリック)時の動きが考慮されている
・毎日タップするボタンで大げさなインタラクションが使われていないか
・細かいボタンの動きまで考慮したデザインになっているか。あらゆるステータス時の表現が考えられているか。
デバイスを考慮したUIデザインがなされている
こんなのあたりまえでしょ(笑)
と思われるかもしれないが、デザイナーがグラフィック納品後、どこか抜け落ちていて自分の知らない所で、エンジニア(実装者)が保管しているケースは実際多い。
あとから「なんでデザインが変わってるんですか!」ってなるのはだいたいこのケースか、実装コストが費用対効果に見合わないデザインが仕上がってきたからだ。前者の場合その時に荒ぶるとチームに不協和音が生まれるし、後者の場合、こだわる必要がある所はトコトン話して詰めていけば良い。
僕が若い頃、毎日遅くまでIRCを付けっぱなしだったのは、自分の考えた仕様に漏れがないか不安で、エンジニアからアラートが上がった場合、早いレスポンスで対応するようにするためだ。夜型のエンジニアだったので、夜中のチャットで対応する事が多かったけど、そのエンジニアからは実装の基本など、多くの事を学ばさせてもらった。
メンテナンス性を考慮した本番環境に耐えうるコードなのかは別の話として、コードを書くようになれば、動作保証も自分が担当することになるので、仕様漏れは必然的に少なくなる。
ただ、コード書けなくても実装面の考慮ができて、ユーザー体験が考え込まれたイケてるデザインを作る事が最も大事だと思う。
今後、リモートワークが採用される現場も多いので、そんな時のコミュニケーションルールやスタンスを伝えておくのも大事。
例えば、「僕は朝型なので、もし考慮不足があれば、SlackのDesignチャンネルでコメントしておいてくれれば朝から対応します! ただ、作業ブロッカーになりうるレベルのモノがあれば、すぐに対応しますので夜中でも気にせず @ で飛ばしてください!」みたいな。
昨今は、アプリ、IoTなど新しい分野の開発が多く、1人で考えきるのは流石に難しい。
デザインを小出ししてキャッチボールしながら網羅していく開発が求められるし、たまに完璧主義者で「最後まで作りきらないと人にお披露目したくない」と言うデザイナーも居るけど、そのスタイルで考慮不足のデザインが上がってくると周りが厳しい状況に追い込まれるので、プロトタイプしながら共創していける人と一緒に仕事をしたい派。
抽象的なUXという言葉を多様するより、これらのコミュニケーションが気持ち良くこなせる事、ユーザー体験を具体的なUIに落とし込むキャッチボールができると、現場でエンジニアから頼りにされるデザイナーになるし、何より仲良くなれるので仕事してて楽しい。
若手の時に色々なスキルを学ぼうとして中途半端にならないように気をつけて欲しいし、画面を作っても、結局誰がが仕様漏れを吸収してるのであれば、それはデザインではなく、グラフィック制作の領域から抜け出せていないのかもしれない。まだまだこれからも現場主義で頑張ろうと思う。